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コンテンツマーケティングとは ペルソナとカスタマージャーニーマップの事例付きで解説

現代のビジネスにおいて、効果的なマーケティング戦略は成功の鍵を握る重要な要素です。マーケティング手法はさまざまですが、コンテンツを使用して継続的にリード顧客とコミュニケーションを取る「コンテンツマーケティング」が注目を集めています。テレビや新聞の広告、SNSなど情報過多の時代において、「ユーザーが求める価値ある情報」を提供することが、企業と顧客との信頼関係を構築する上で重要だといえるでしょう。
本記事では、コンテンツマーケティングの基本から具体的なステップ、メリットやデメリットについて詳しく解説していきます。
コンテンツマーケティングの定義
コンテンツマーケティングの発祥は、米国です。同国のContent marketing instituteの記事では、コンテンツマーケティングについて以下の通り定義づけています。
「コンテンツマーケティングとは顧客にとって価値があるコンテンツを一貫して配信し、コンテンツの受け手(リード顧客)を惹きつけ、関係を継続させたうえで最終的には収益につながる行動を取ってもらう戦略的なマーケティング手法」
つまり、コンテンツマーケティングはコンテンツを使って以下の通り顧客とのコミュニケーションを取っていくといえるでしょう。
- 潜在顧客を引き付ける
- 顧客とのエンゲージメント(関係性)を高める
- 顧客の問題解決を支援する
- 信頼関係を構築する
コンテンツマーケティングはマーケティング手法であるため、最終的な目標は売り上げです。顧客に信頼してもらうために、まずはこちらがGIVEする。顧客にコンテンツを通してまずは情報を与えることで、顧客の信頼を勝ち取り、最終的に購入という行動を取ってもらうことを目指すのです。
前述の「顧客の問題解決を支援する」というのはコンテンツマーケティングの基本姿勢といえるでしょう。例えば、「一軒家を手掛ける工務店が住宅ローンの解説記事をホームページに掲載する」「飲食卸の会社が飲食店向けの新メニューの参考になりそうなレシピをSNSで配信する」というのは、コンテンツマーケティングの一つの手法だといえます。
コンテンツマーケティングのステップその1:ペルソナ設定
コンテンツマーケティングを成功させるための最初のステップは、ペルソナ設定です。ペルソナとは、ターゲットとなる理想的な顧客像を具体化したものです。ペルソナを設定することで、どのようなコンテンツがターゲットにとって有益であり、関心を引くのかを明確にできます。
ペルソナ設定の主な要素:
- 基本情報:年齢、性別、職業、収入、居住地など
- 行動特性:情報収集の方法、購入の決定プロセス、よく使用するデバイスやプラットフォーム
- ニーズと課題:どのような問題を抱えているのか、それに対してどのような解決策を求めているのか
- 価値観と目標:どのような価値観を持ち、何を達成したいと考えているのか
ペルソナを具体的に描くことで、顧客の視点に立ったコンテンツ制作が可能になり、効果的なマーケティング戦略を立案できます。
コンテンツマーケティングのステップその2:カスタマージャニーマップの設定
次に重要なのが、カスタマージャーニーマップの設定です。カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを認知し、購入に至るまでのプロセスを視覚化したものです。各段階での顧客の「状況」「心理」「知りたがっていること」「行動」についても検討します。このマップを作成することで、顧客が各段階で何を考え、何を求めているのかを理解できます。
カスタマージャーニーの主な段階:
- 認知フェーズ
- 概要:
顧客が自分の問題やニーズに気づく段階。この段階では、まだ具体的な解決策や商品を知らないが、課題や興味を感じ始めています。 - 目的:
自社のブランドや商品を知ってもらい、興味を引き出す。 - 有効なコンテンツ例:
- ブログ記事:「日々の暮らしを快適にする最新テクノロジー」
- SNS投稿:「こんな家があったらいいな」を刺激する写真や動画
- YouTube動画:「家づくりの第一歩に必要な知識」
- 情報収集フェーズ
- 概要:
顧客が具体的な情報を収集し始める段階。自分の課題に対する解決策を探し、どのような選択肢があるのかを理解しようとします。 - 目的:
顧客が自社の商品やサービスを候補として考えるきっかけを作る。 - 有効なコンテンツ例:
- ホワイトペーパー:「予算別注文住宅ガイド」
- ケーススタディ:「30代夫婦が理想の家を建てるまで」
- Q&A形式のページ:顧客のよくある質問に答える。
- 製品紹介動画:「スマート機能を備えた家の魅力」
- 比較検討フェーズ
- 概要:
顧客が選択肢を比較し、どのブランドやサービスが自分に合っているかを検討する段階。この段階では、具体性や信頼性が重視されます。 - 目的:
他社と比較して優位性を示し、選ばれる理由を提供する。 - 有効なコンテンツ例:
- 比較記事:「他社とここが違う!スマートホームの特長」
- 顧客レビュー:「実際のオーナーが語る家づくりの体験」
- 無料プラン提案:「あなただけの設計プランを無料で作成」
- チェックリスト:「住宅購入で失敗しないためのポイント」
- 購入フェーズ
- 概要:
顧客が最終的な購入を決定する段階。この段階では、信頼感や安心感が非常に重要です。 - 目的:
購入を後押しし、顧客に「この選択で間違いない」と思わせる。 - 有効なコンテンツ例:
- 透明性のある料金プラン:「初期費用から維持費まで完全解説」
- 割引オファー:「今月限定!早期契約でオプションを無料プレゼント」
- 契約プロセスの説明:「初めての方でも安心!契約から施工までの流れ」
- 購入後のサポート案内:「長期保証とメンテナンスサービスの紹介」
カスタマージャーニーマップの活用方法
- 顧客心理を深く理解する:
各段階で顧客が感じる疑問や不安に対応するコンテンツを準備します。 - チャネルを最適化する:
SNS、ブログ、メールなど、顧客が最もアクセスしやすい場所で適切な情報を提供します。 - 継続的な改善:
顧客データや反応を分析し、カスタマージャーニーマップの内容を定期的に見直すことで、さらに効果を高めます。
認知から購入までの各段階に応じたコンテンツを提供することで、顧客の購買行動をスムーズに促進できます。また、顧客のニーズを正確に理解し、それに応える情報をタイミングよく届けることが、成功の鍵となります。
コンテンツマーケティングの事例(架空のハウスメーカーの場合)
ここで、架空のハウスメーカーがコンテンツマーケティングを実践した場合の事例をご紹介します。
ペルソナの設定
名前:田中 一郎(たなか いちろう)
年齢:35歳
職業:システムエンジニア
年収:650万円
家族構成:妻(32歳、会社員)、1歳の娘
居住地:東京都立川市
趣味:読書、キャンプ、サッカー観戦
性格:計画性があり、家族思いで慎重。
詳細プロフィール
・背景
一郎さんは東京郊外で生まれ育ち、地元の国立大学を卒業後、現在のIT企業に就職。結婚してから数年間はアパート暮らしを続けていたが、娘の誕生を機に広い家を求めてマイホームを建てる計画を始める。現在住んでいる地域は通勤に便利で、子育て支援も充実しているため、このエリアで土地を探している。
・目標
家族全員が快適に過ごせる家を建てる。
将来的なローン返済負担を抑えながらも、資産価値のある家を所有する。
子どもの成長に合わせた間取りや学区を重視。
・課題
共働きで忙しく、土地探しや住宅プランの検討に時間が取れない。
希望するエリアの土地価格が高騰しており、予算内で理想を叶えることが難しい。
家づくりの知識が乏しく、何を優先すべきか迷っている。
・価値観と考え方
家族第一主義:妻と娘が安心して暮らせる環境を最優先。
コストパフォーマンスを重視:高品質なものをできるだけコストを抑えて実現したい。
長期視点:10年後、20年後の家族の生活や資産形成を考慮した計画を立てたい。
・日常生活
平日は朝早く出勤し、都内のオフィスでフルタイム勤務。リモートワークも取り入れられるが、会社の方針で出社がメイン。帰宅後は家族と夕食を取り、娘と過ごす時間を大切にしている。休日には、妻と娘と一緒に近くの公園に行ったり、家族でキャンプを楽しむこともある。
・情報収集の方法
住宅関連のSNSやブログをチェック。
地元の不動産会社や住宅展示場を訪問。
妻と一緒に住宅ローンのセミナーに参加。
同僚や友人からの口コミを参考にする。
1.認知段階
状況
子どもが生まれ、現在の住居が手狭に感じ始める。将来的な資産価値や快適性を考え、マイホーム購入を漠然と意識し始めた段階。
心理
「家族のために広く快適な住まいを持ちたいけど、何から始めたらいいのかわからない。」
興味はあるが、具体的な行動に移す準備が整っていない状態。
知りたがっていること
マイホームを建てるのに必要な基本知識(費用、スケジュール、土地選び)。
自分たちでも家を持つことが可能かどうか。
行動
SNSやウェブ広告に反応し始める。
家づくりのブログ記事や動画をなんとなくチェックする。
近所で建てられている家を観察。
必要なコンテンツ
「マイホームづくりの第一歩:基本ガイド」(ブログ記事やPDFダウンロード)
「家を建てるための初期費用の目安」(簡単な費用シミュレーションツール)
- 情報収集段階
状況
マイホーム計画を本格的に考え始め、具体的な情報を集めている段階。
心理
「どんな場所でどんな家を建てるのが理想か考えたい。土地や建築の費用もリアルに知りたい。」
ワクワク感と同時に、予算や手続きの複雑さに不安を感じる。
知りたがっていること
希望エリアの土地価格や市場動向。
家づくりのプロセスや必要な手続き。
自分たちの年収や資金計画で建てられる家のイメージ。
行動
不動産ポータルサイトや建築会社のホームページを頻繁にチェック。
住宅展示場やセミナーに訪れる。
家族や友人、同僚に相談。
必要なコンテンツ
「土地探しで失敗しないためのチェックリスト」(PDFやブログ記事)
「家づくりの全体スケジュール」(インフォグラフィックや動画)
- 比較検討段階
状況
複数の土地や建築会社を検討し、具体的な選択肢を比較している段階。
心理
「家族のために後悔しない選択をしたい。けれど、選択肢が多くてどれがベストかわからない。」
選択肢を絞り込む作業にストレスを感じるが、同時に希望が形になりつつある喜びも感じる。
知りたがっていること
各建築会社の特徴(デザイン、価格、アフターサービス)。
希望条件に合った土地の詳細情報。
将来的な家の資産価値やリセールバリュー。
行動
モデルハウス見学や土地見学を妻とともに複数回行う。
建築会社のスタッフと詳細な打ち合わせを重ねる。
比較表を作り、家族で議論。
必要なコンテンツ
「建築会社を選ぶときの10のポイント」(ブログ記事やPDF)
「土地の選び方:エリア別ガイド」(インタラクティブマップや記事)
- 購入段階
状況
最終的な土地と建築会社を選び、契約に進む段階。
心理
「この選択で本当に間違いないだろうか。」
大きな出費を前に不安と期待が入り混じった感情を抱えている。
知りたがっていること
契約後の流れや必要な手続き。
住宅ローンの審査や申請方法。
契約後のサポートやアフターケアの内容。
行動
建築会社や銀行の担当者と頻繁に連絡を取り合う。
契約書をじっくり確認し、家族で相談。
住宅ローンの申請準備を進める。
必要なコンテンツ
「住宅購入後の手続きガイド」(PDFやチェックリスト)
「ローン審査に通るための準備ポイント」(ブログ記事や動画)
コンテンツマーケティングのメリットとデメリット
コンテンツマーケティングには多くの利点がありますが、同時にいくつかの課題も存在します。以下に、それぞれのポイントをまとめました。
メリット:
- 長期的な効果:価値あるコンテンツは時間が経ってもユーザーに影響を与え続けるため、長期的な集客やブランド価値向上につながります。
- 顧客との信頼関係構築:有益な情報を提供することで、顧客からの信頼を得ることができます。
- SEO効果:質の高いコンテンツは検索エンジンでの評価を高め、オーガニック検索流入を増やします。
- コンテンツは資産になる:一度作ったコンテンツは、その後もホームページやSNSに残っていきます。そのため、長期的な
デメリット:
- 成果が出るのに時間がかかる:コンテンツマーケティングは一般的な広告と違い、成果が出るまでに時間がかかります。しかし、コンテンツが資産となることで、単発の広告と違い集客力には持続性があります。
・継続が難しい:時間とコストがかかるため、社内で専任の担当者がいないと継続が難しく、中途半端な施策になる可能性があります。
これらの点を理解し、適切な戦略を立てることで、コンテンツマーケティングを最大限に活用することができます。
コンテンツマーケティングは長期的な視点を
本記事では、コンテンツマーケティングの基本から具体的なステップ、メリットとデメリットまでを解説しました。コンテンツマーケティングは、単なる広告とは異なり、顧客にとって価値のある情報を提供することを目的とした戦略です。ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップを活用することで、ターゲット顧客に最適なコンテンツを届けることができます。また、効果的なコンテンツマーケティングを実現するには、長期的な視点と継続的な改善が欠かせません。
これからコンテンツマーケティングを始める方や、既存の戦略を見直したい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
本記事でも触れたように、コンテンツマーケティングは専任の担当者が必要です。社内でリソースを確保できない場合は、外部の専門家に依頼するのも一つの手法でしょう。Third Stationはコンテンツマーケティングコンサルサービスを手掛けています。まずは、無料のホームページ診断にぜひお申し込みください。お問合せページから無料診断を受けたい旨送信ください。
筆者プロフィール
山田太一
同志社大学卒業後、産経新聞社に入社。主に事件、行政担当として取材、執筆に当たる。その後、リクルートキャリアに入社し、新卒採用コンサルティング業務に当たる。コンテンツマーケティングエージェンシーを経て、2022年合同会社Third Stationを設立。